DeToNator代表江尻勝氏と黒川文雄氏が「eスポーツ」と「プロゲーマー」を語るトークセッションが開催!

2月4日(日)に、千葉県・松戸のDHムービーで、「eスポーツ」と「プロゲーマー」をテーマにしたトークセッション「クリエイティブ系ワーキングスタイルのセッションVol.8」が開催された。司会はメディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏で、ゲストにゲーミングチームDeToNatorの代表を務める江尻勝氏が登壇した。本稿では、その模様の一部をピックアップしてお届けする。

「プロゲーマー」ってなんだ?

黒川氏:皆さんご存じだと思いますが、「プロゲーマー」ってなんだというところからお話をお聞かせください。

江尻氏:「プロゲーマー」って今、日本でいろんな定義やいろんな形での取扱になっています。私の認識では、皆さんが考えているのが「プロゲーマー」でいいのではないかと思います。100人いれば、100人の定義があって、何かチームに所属したらプロチームなのか。それともスポンサーが付いているチームに所属したら「プロゲーマー」なのか。何かお金をもらったら「プロゲーマー」なのか。皆さんのイメージでいいんじゃないですか、というのが僕のスタンスです。

ただ現実にいとうと、きちんと定義をするのであれば、本当にそのゲームのトーナメントに参加して、生業になっているという方が一番しっくりくるのかなと、個人的には思っています。

黒川氏:ま、そうですよね。まさに名乗れば(プロゲーマーに)なれますよね。ただ、お金が稼げて、それで生活ができているという人は限られていますよね。

江尻氏:そこの定義は、現状今「プロゲーマー」という言葉がひとり歩きしているようなものなので、当然今までのテレビの出方やメディアの出方に関しては、個人的にはまったく興味を持たなかったです。あまりにも自分が考えているものと、かけ離れているような説明の仕方が多かったので。

「プロゲーマー」=何か面白いのが出てきたぞ。ちょっと小馬鹿にするような感じで、「彼女いるんですか?」とか。

黒川氏:そういうのありましたよね。

江尻氏:選手たちも、後で聞いてる人たちも、すごい怒っているんですよ。自分たちがゲームというものに対して、真っ正面から向かってやっているものに対して、回りからは、テレビに出ると「彼女いるんですか?」みたいな感じになるんだったら、そんなために僕たちは舞台に出ているわけではないですし。プライベートのことを、おもしろおかしくいじられるようなネタになるんだったら、まったくうちとしては興味がないですね。

▲メディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏。

「プロゲーミングチーム」とは?

黒川氏:実際にされているゲーミングチームについてお聞かせください。

江尻氏:プロゲーミングチーム」ってなんですか? とか、いろんな話が多いので、私自身で決めた説明がひとつあります。野球といわれればプロ野球、サッカーでいうとJリーグじゃないですか。野球でビジネスをしているのが、「プロ野球」。自分たちも同じように、「ゲーム」で「ビジネス」をしている団体なだけなんです。

そのゲーミングチームの中のカテゴリーに、コンペクティブなeスポーツをメインにする部門がある。もうひとつは、うちでいう「ストリーマー」というインフルエンサーとしてのゲームを伝える分野もあります。もうひとつは、選手たちをマネージメントするという、今の自分がやっているいろんな番組に出たりといった育成など、そうしたものをすべて備えたゲームでビジネスをしている団体が、僕は「ゲーミングチーム」といっています。そうすると、「あっ、そうだよね」で終わるんですよね。

黒川氏:そうですね(笑)。

江尻氏:ゲームを利用して、いろんなコンテンツやいろんな部門があって、そこをチーム内でちゃんとマネタイズして整備やっている団体が「プロゲーミングチーム」です。

黒川氏:ひとつだけブレイクダウンしたいんですけど、選手たちが活躍することの賞金ビジネスと、スポンサー収入というのもあるんですね? たとえばPCとか周辺機器とか椅子とか、そういうものになるんですか?

江尻氏:そうですね。それはパートナー様からのご支援のものと。実際にいろんなオファーがくるものの中でと。配信の広告的なものと。慈善団体ではないので、ちゃんとマネタイズしてビジネスにして、お金の意味を動いている選手たちが理解をしないと、結局無理なんですよね

必ずなにか動くのであれば、自分の意思でやれっていっています。そこが理解できないと、マネタイズの一歩も踏めないという感じですね。

黒川氏:ゲームがテーマにであっても、ひとつの社会であれ、会社ですよね。

江尻氏:そうです。

黒川氏:ゲームを扱っているから面白そうとか、ゲーム好きだからやれるというものではないというのが、「プロゲーミングチーム」という理解でよろしいでしょうか。

江尻氏:はい、そうですね。その通りだと思います。

▲DeToNator代表・江尻勝氏。

日本の大会事情について

黒川氏:ここ最近話題になっているのが、日本では高額の賞金の大会ができないという話があります。江尻さんは、そのあたりはどうお考えですか?

江尻氏:僕はもう、いろんな情報のなかで、今回のいろいろ決まったものに関しては肯定も否定もしないというスタンスをずっととっています。それは自分が関わってないからなんですよね。

黒川氏:あ~、関わってないから(笑)。

江尻氏:それに対しては、自分の意思でもないので、その方たちがいろいろ勉強をして自分たちの意思でこれがいいと思って信じてやっていることに対しては、僕はいいんじゃないですかと。ただ、そこにはいろんな責任が携わってきますから、そこをどう考えるかは、これからの話だと思います。

大会の賞金やプロゲーマーだったりといった問題は、現場の意見をもっと反映しないと、なかなか彼らが望んでいるような形にならないと思います。もしかしたら考えているのかも知れませんが、正直それは伝わってないのかなという印象です。

黒川氏:なるほど。今江尻さんがおっしゃったのは、一般社団法人「日本eスポーツ連合」の話ですね。今までのeスポーツの団体が融合したものです。それはそれということですね。急に出来上がった感じはしますよね。

江尻氏:今の日本では大会の数が激減しています。ただ、コミュニティベースの大会というのは、たくさん増えているのもありますし、ずっとコンスタントにやっているのもあります。一般的な、世界で盛り上がっているタイトルに付随するようなものが、日本でも世界で同じようになっているかというと、ちょっと減ってます。

黒川氏:やっぱり減ってるんですか。つい先日も「EVO」という大会があって、大会の金額上限が9万9999円という、ちょっと変わった設定がありました。カップヌードルの日清さんがスポンサードしているという、斬新なものでしたね。

江尻氏:僕は格闘技のコミュニティに全部入ってないんですよ。格闘技は格闘技で独自に進化してきて、ちょっとずつ時間をかけて海外に選手たちが自らのお金で行くという文化を作ったのは、彼ら自身なので。それが海外で花開いて日本に戻ってきて、ようやく日本でも一歩踏めたかなという風に見ています。

黒川氏:なるほど。

つづく。

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